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静寂の空間に、シーシャ屋さんの『進化』を見たかも。(はなれ/横浜)

2020年は、もっともシーシャ屋さんが増えた年だった気がする。

都心で過ごす人は、「シーシャが吸いたい!」と思えば、どこの駅からでもシーシャ屋さんに気軽に立ち寄れる環境になり、人気店の2号店や、独立、起業で新たにスタートさせたお店など、店主たちが試行錯誤したシーシャ体験を楽しめるようになりました。

そんな年も暮れかかった10月。
横浜で新規オープンした「はなれ」は、シーシャの『進化』を気づかせてくれるお店でした。

大手も参入しシーシャ激戦区となった横浜西口


東京駅から30~40分、横浜駅、西口。

新宿、渋谷、池袋がギュッと詰まったような、昼も夜も賑わいが絶えない南幸。


ここには、10年以上前から営業を続ける老舗「Sheesha Bar DUBAI 横濱」があり、2019年には2号店「Sheesha Cafe & Bar DUBAI 横濱-Ⅱ」もオープン。


そして2020年10月には、大手グループ「チルイン」の横浜西口店も進出するなど、ほのかなシーシャ激戦区。

そんな強豪進出と時を同じくして誕生した新店が「はなれ」。

場所は、メイン通りに面した真新しい飲食ビルの1フロア。


シーシャ屋といえば、やや年季の入った雑居ビルと相場が決まっているが、ガラス張りの清潔感のある施設で、通りからも目立つ角地。
その立地からも、今までと違ったシーシャ屋さんの印象を感じます。

4階行きのエレベーターに乗り込み、扉が開くと「フッ」と視界が真っ暗に。
ついさっきまでの街の活気が一気にかき消される感覚に包まれました。

BGM無し。緊張感とリラックスが交錯する空間


目が慣れると浮かんでくる、仄暗い静かな店内。

まず目に飛び込んでくるのは、高い天井から吊るされた白いカーテン。月夜に照らされた雲のように、ぼんやりとそよいでいます。


広いフロアに目をおろすと、ゆったりとした間隔で並ぶキングサイズのソファ。
人が埋もれるような、大きなソファは、まるで不思議の国のアリスの世界のような錯覚を感じさせます。

そして、なにより驚かされるのが、その静寂。
とにかく静かなこと。

すでに数名のお客様がいましたが、それぞれの席が離れていることはもちろんですが、ただただ思い思いのタイミングで煙を吐き出しているだけ。

聞こえてくるのは、シーシャのポコポコ音と、小さく聞こえる店員さんの炭替えの声掛け。

このお店では、BGMが一切ありません。

図書館のような、緊張感。
岩盤浴のような、リラックス。
そんな感覚が交錯する中で味わうシーシャは、どんな味なのか。期待が高まります。

シーシャはちょうど美味しく整った味わい


メニューは無く、お客様へのコンサルでミックスを決めるスタイル。
まだ、フレーバー種類はそれほどない、ということですが相談しながら2種類のシーシャをオーダー。

ドリンクは、冷蔵庫からフリードリンクのスタイルで、一般的なメーカーのペットボトルや缶飲料が飲み放題で、会計は総額3000円。

一本目のシーシャは甘めをオーダー。
「ジャスミン×オリエンタルスパイス×シナモン」。

シナモンは、インパクトが強く大味になりやすいフレーバーにも関わらず、3種類それぞれをバランスよく整えてくれて、飽きがこない味に仕上げてくれました。

二本目はさっぱり系。
「ラベンダーミント×ジャスミン」。

フローラル系でまとめてくれたミックス。
ショッピングセンターの石鹸屋さんのような、女の子好みの香りだけどほどよく抑え目で、吸うのにちょうど美味しい加減。

お花系は、行き過ぎると柔軟剤になったり、ケミカルっぽさが気になってしまうけれども、そこまで行かず、美味しいところでキープしてくれている味でした。

シーシャと向き合う時間を過ごしてもらうための「会話厳禁」


炭替えもこまめに来てくれて、美味しい煙を絶やさないでくれます。

店員さんに尋ねると、このお店は川崎の「SAVU」の系列店だと、静かなトーンで教えてくれました。

「SAVU」は、シーシャとともにウイスキーを提供するバーなのですが、「敷居が高い」というお客様の声もあり、シーシャ専門で楽しめる店として出店。
BGMがないのも「こだわり」のようで、シーシャと向き合い、自分の時間を過ごして欲しい、という想いからのようでした。

もちろん「大きな声での会話は厳禁」。
もはや、言うまでもないルールで、店に一歩足を踏み入れた瞬間から、自然と「そうであるべき」と思わせてくれるようなお店でした。


あらためて店内を見渡すと、お客さんが吐き出した煙が、オレンジ色の淡い照明に照らされて立ち上がっていく様子が目に入りました。

そして、吐き出した煙に同調するように、天井では、大きなカーテンがゆらゆらと揺れ続け、シーシャの煙に包まれて過ごしているような気分になってきました。

他では真似できない余裕と贅沢さ


もっともシーシャ屋さんが増えた、2020年。

昔ながらの雑然としたスタイルを受け継ぐお店はもちろん、豪華な内装、カフェ風の店内、店員さんのキャラクター、フレーバーや料金での差別化、地域・地方での初出店などなど。

数年前までは、「シーシャ屋さん」という業態を知ってもらうことがチャレンジだったのが、今は認知も高まり、新しいお店が誕生しやすい環境になり、シーシャ好きには嬉しい限り。

そんな中で「はなれ」との出会いは、そんな流れとはまた違う、シーシャ界の新しい一歩、発展を感じさせてくれるものでした。

シーシャ好きが増えた今だからこそ、お店から発信する一方的なコンセプトではなく、それぞれの楽しみ方を大事にしたい。

そんな想いに大きく振り切り、思い切ってBGMを無くし、座席数ももっと稼げる中でも、ゆとりをもたせて配置。
この余裕と贅沢さは、ほかでは真似したくても、真似できない大きな挑戦だと思いました。


新しいお店が生まれやすい、今のシーシャ界の潮流に甘んじず、シーシャと向き合うために取り入れたこのスタイル、この挑戦に、シーシャ界の『進化』を見たような気がしました。

今後も増え続けるシーシャ屋さんの未来が楽しみになってきた。
そんなお店との出会いでした。

お店の情報

はなれ〈横浜〉
SAVU〈川崎〉
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